未だ、校内では優衣と龍之介が付き合っているのは嘘だという噂があちこちで絶えない。
あんに二人が釣り合っていないことを示唆しているそれ。
それは決して大々的に流れている話ではない。
しかし噂とは女子の大好物。
意識せずともそれは当たり前のように優衣の耳に入ってきて。
龍之介がその噂の根源と思われるところを片っ端から叩いては抹消しているのだが、それは優衣の知るところではなかった。
「誰が見たって、私のほうが似合ってる」
そうでしょ?と自信に満ちた表情で言う井上に、優衣はただ必死に涙を堪えることしか出来ない。
「今度ははっきり言うね。龍之介と、別れて」


