たべちゃいたいほど、恋してる。





その人の姿を見た瞬間、優衣の心にぶわっと沸き上がった黒い感情。

心の奥底に鍵をかけて閉じ込めたはずの感情が優衣の意思とは無関係に顔を出す。




「井上、さん…」




震える声で紡いだ名前。


優衣の口から出た名に、目の前に立つ彼女は"覚えていてくれてありがとう"と綺麗に微笑んだ。


その笑みにぐっと息苦しさを覚える優衣。




「あの…何、か…」




無理矢理押し出した声は裏返り、優衣の不安定な心境を映し出す。

そして井上の姿を視界に入れぬよう視線を下げた。




「何かっていうか…まだ龍之介と別れてないんだって?」




俯いてしまった優衣に向かって井上は笑顔を崩さないままそう言い放つ。