その日の夕方。
家の冷蔵庫に食材が何もないことに気付いた優衣はゆったりと歩きながら近所のスーパーへと向かっていた。
因みにこの大きくもなく小さくもない適度な広さのスーパー。
ここは最近になって漸く優衣一人で来ることが出来るようになった場所である(それ以前は健が同行していた)。
これを夏希に自慢したところ、嘲笑を返されたのは記憶に新しい。
「よしっ!これくらいでいいかなぁ?」
買い物袋を両手で抱えながらとぼとぼと一人歩く帰り道。
父親は優衣の帰宅と入れ違いで出ていったらしく、机の上には入れたばかりであろう暖かいコーヒーが置いてあった。
恐らく今日帰ってくることはないだろう。
そんなことを思いながら家まであと数十メートルという距離まで来た時。
優衣の目の前に一人の女が立ちふさがった。


