甘えるよう龍之介に擦り寄る優衣の口から出た我儘。

しかし当の本人はその願望が口から出てしまったことには気付いていないようだ。




(だって、そうしたら家でも龍くんにぎゅってしてもらえるもん)




実際、前に貰った龍之介のパーカーは今や優衣の自宅での必需品となっていて。

あれがないと眠れない。



そんな優衣に龍之介の目が優しく細められる。

優衣の柔らかな髪を撫でながら頬に口付ける龍之介。

耳を擽る黒い髪に優衣は恥ずかしそうに肩を揺らした。




「…ん。今度な」




優衣にだけ聞こえるよう囁かれた台詞。


それが優衣には魔法の言葉に聞こえて。


少しでも好きの気持ちが伝わるように、優衣はぎゅっと龍之介の体へ抱きついた。