「どうした?優衣」
耳元で期待どおり紡がれた名前。
他の人に呼ばれるものとは違う、甘美な響きを持ったそれ。
まるで特別だと言われているようで。
それが嬉しくて仕方ない。
包み込んでくれる大きな体にドキドキと胸を高鳴らせながらも、大好きな龍之介の香りを肺いっぱいに吸い込む。
この香りを嗅ぐたびに思い出すのは、雨の中で偶然出会い初めて抱き締めてもらったときのこと。
あの時初めて優衣は龍之介から"安心感"というものをもらった。
以来それはいつだって優衣に絶対的な安心を与えてくれて。
(大好き、大好き)
認めてしまってからは溢れて止まらないこの想い。
「…龍くんの洋服欲しいなぁ…おんなじ匂いの」


