「…俺のこと、誰だかわかんねぇのかよ」




龍之介とは違う軽い脱色を重ねたような金に近い茶色の髪揺らし、機嫌悪そうにそう言い捨てる男。

捕まれた手の力がギリギリと加減を知らないかのように強くなっていく。


どうやらやはり龍之介の顔見知りらしい。


しかし当の本人にはまったく心当たりが無い。

否、有りすぎて見当がつかない。


恐らく過去に喧嘩をしたことのある相手なのだとは思うのだが。


しかし、流れ始めた不穏な空気に、さすがの龍之介も男のことを思い出そうと思考を巡らせた。




(顔…つーより、この制服が…どっかで見たことあんだよな…)




基本的に龍之介に喧嘩を売ってくる輩は闇討ちよろしく龍之介一人に対し数人が常で。

それ故に顔はわからない(数が多くていちいち覚えられない)