その日の夕方。



龍之介に家の前まで送ってもらった優衣は、自宅の玄関先でとある女物のパンプスを見つけた。


それを見て優衣は父親がまだ帰っていないことを理解する。


その靴は知らないものではない。

優衣の物ではないが、確かに見覚えのあるもの。

家にある人がいることを示していた。




「お母さん?」




そう口に出せば、リビングからひょこっと顔を出したのは紛れもなく優衣の母親で。

珍しい来客に優衣は驚きを隠せない。


いつもなら事前に連絡を入れてくる優衣の母。

しかし今日、母からの電話やメールはなかったはずだ。


不思議に思いながらも母に呼ばれるまま家に上がる優衣。


そこで聞かされた母からの言葉に優衣は更に動揺することになる。




「あのね優衣。お母さん、再婚しようと思うの」