甘い甘い触れるだけのキス。
周りから見ればお子様の戯れのように思われるかもしれないけれど。
二人にはこれくらいががちょうどいい。
ゆっくりとリップ音をたてて離れる二人の唇。
その音が、更に優衣の恥じらいを誘って。
染まっていく頬。
離れる間際、優衣の唇にかかった龍之介の吐息が、今の出来事が現実なのだと優衣に告げる。
(…ちゅー、しちゃった…)
恥ずかしさを感じながら目を開ければ、目の前には表情を甘く和らげて優衣を見つめている龍之介。
その表情に優衣の胸がまたドキンと高鳴った。
(龍くん、ずるい)
トクン トクン
「…ずるい」
そんな胸の音を隠すように俯きながら小さく口を開く優衣。
そのまま、とすんと龍之介に抱きつく。


