少しでも、彼と釣り合いたかった。

ただ、その思いだけ。




「ど、どうしたのうーちゃん!」




響いたのはキーンと脳に届くような大きな声。



あの一件の翌日。

優衣が朝一番に聞いたのは、青ざめた表情をしている夏希の叫び声だった。


いつも通り優衣の家まで迎えに来た夏希の開口一番が挨拶ではなくこれである。

その顔は今にも世界が終わるんじゃないかといわんばかりのもので。




「な、なっちゃん…怖いよ」




夏希のそんな顔に思わず一瞬引け腰になってしまった優衣。


しかしどうにか持ち直し、夏希を擦り抜けて学校に向かう。


学校までの道程を歩く間も夏希はちらちらと何か言いたげに優衣を見ていたが、優衣は知らないふりを決め込んで先を急いだ。