さすがの龍之介も恥ずかしかったらしい。

恥ずかしいの基準は定かではないが。


ここまで言わなくてもよかったのではと一瞬思ったが、これが自分の想いを伝える最善の方法だとこの男は知っている。


龍之介は一度深く息を吸うと、再び優衣へと視線を合わせ真っすぐにその瞳を見つめた。




「あんま他の奴らの言葉真に受けんな。俺の言葉、信じてろ」




他なんていらない。

そんな想いが伝わるように。



しかし後に龍之介はこの瞬間を深く後悔することになる。



この時、優衣の中で消えず燻っていた不安に気付けていたら、と。




未来はまだ見えない。


けれど、その悪夢は確実に近づいていた。










act 1*end.