「あんま他の奴らの言葉間に受けんな。俺の言葉、信じてろ」




真剣に優衣を見つめるその瞳は、言葉以上にそれが真実だと訴えている。

自分の言葉に嘘はない、と。


そう言われてしまえば、優衣にはもう頷く以外選択肢が見つけられない。

優衣がコクリと小さく一度首を縦に振れば、満足そうに笑う龍之介。



だが、優衣の心の中に生まれた黒い塊はそう簡単に消えてくれるわけではないようだ。


初めて味わうその痛みの処理の仕方を優衣は知らないのだから。



それでも龍之介が笑ってくれるならと、優衣は燻ったままの痛みを知らんぷりするしかなかった。




ゆるり、ゆるり。



初恋の苦い味が広がる。