「で、でも!龍くん…中学の頃から女の子の好み、変わってない、って…」




だから私じゃ全然違うな、って…と口をもごもご動かしながら俯く優衣に、更にぐっと深くなった龍之介の眉間のしわ。

そして同時にくわっと見開かれた目。


さすがにこれは言ってはいけなかったのかと慌てて口を押さえる優衣だがもう遅い。


ずいっと近付けられた龍之介の顔が"誰に言われたんだ"と無言で詰め寄ってくる。


言うまでもなく、そんな龍之介から逃げられるわけもなく。




「た、健くん……です」


「………チッ」




意を決して名前を言えば、盛大に聞こえた舌打ち。

殺気を含んだそれに小さく悲鳴を上げる優衣。