「合格通知も郵送だったから…入学式の後で見かけるまで、あいつが桐花受けてたのも知らなかったんだよ」




はぁ、と大きな溜息を吐いてそう言う龍之介。その姿から嘘をついているとは到底思えない。


眉間にはあからさまにしわが刻まれ、声のトーンもいつもより幾分不機嫌そうだ。




「じゃ、じゃあ…龍くんが追いかけて受験したって、噂は…」


「んなの、ただの適当な噂に決まってんだろ」




有り得ねぇ、と吐き捨てるように低く低く紡がれた言葉は、校内で流れている噂を真っ向から切り捨てる。




(そう、だったんだぁ…)




その言葉に一瞬ほっと息をついた優衣だったが、次に浮かんだ健の言葉に再びしゅんとうなだれる優衣。