とてつもなく不機嫌そうなその音に優衣の不安は募る一方。

浮かぶ涙に息が詰まる。


それでも自分が龍之介を怒らせてしまったのだと確信した優衣は、ぐしぐしと左手で涙を擦りながら




「うぇぇ…ご、ごめっごめんなさぁいー!!」




と叫んだ。


そう、叫んだのだ。

それはもう親に叱られた子供のように勢い良く。


学校中に響き渡ったのではないかと思われる声で泣きながら謝る優衣は、どこからどう見ても年相応には見えない。

よくて中学生くらいだろう。


目の前には目を大きくして驚いている龍之介。



しかし、そんなことは気にならないといわんばかりの勢いで涙を流している優衣は、他の何より怒りという感情に敏感で。