はぁ、と小さく溜息を吐き、零れた涙を掬うように優衣の頬へと手を伸ばす龍之介。
低く響いた呆れを含んだようにも聞こえた声とふいに触れたその手のひらに、びくっと反応しながら優衣はぎゅっと目を瞑る。
(うぅ…龍くん、怒っちゃった…?)
居心地の悪い雰囲気にふとそんな考えが優衣の頭を掠めた。
健くんの馬鹿!嘘つき!と心の中で思い切り健に罵声を飛ばしながら、小さな声で素直に"本人…"と呟く優衣。
実際には直接そう言われたわけではないが、ようするにそういうことなのだろうと優衣は思っている。
そんな小さな優衣の答えに再び降ってきた龍之介の溜息。
しかも今度はかなり大きく長い。


