その声はさながら小動物が他の動物を威嚇する時のよう(しかし、まったく怖くない)。
そして何度かコクリコクリと喉を鳴らした後、固く閉ざしていた唇を開いたかと思うと
「龍くんの…龍くん、の…ばかぁぁああっ!!!!」
「はぁ!?」
まさかの馬鹿発言。
予想すらしていなかったその単語に思わず間の抜けた声をあげた龍之介。
その決して大きくはない目を驚きのまま見開いてぱちぱちとさせている龍之介など見る余裕もなく、優衣は更に口を開く。
その口は先ほどまでの沈黙とは逆に止まることを知らないかのように次々と言葉を発しだした。
(だって…だって…!)