「りゅ、りゅりゅりゅ龍、くん!?」
起きてたの!?と顔を真っ赤にして慌てふためく優衣をよそに、余裕の表情で笑いながら体を起こす龍之介。
その顔にどきりと優衣の体の中が疼く。
「お、起きてたなら、起こしてくれればよかったのに…」
動揺を隠すように無理矢理繋いだ一言。
しかし
「寝顔が可愛かったから。起こすの勿体ねぇだろ?」
あえなく撃沈。
さらっと吐かれた言葉は予想を超えた甘さを含んで。
普段からくらっとするような台詞を当たり前のように紡ぐ龍之介だが、今日のそれがいつもと違う響きに聞こえたのは優衣の気のせいではないだろう。


