ぎゅうぎゅうと抱きつくように泣き始める優衣。


泣き声の合間に呼ばれる自身の名前がどうしようもなく愛しく感じられて。


優衣のそれに答えるように、龍之介も何度も何度も優衣の名前を呼ぶ。



心の底で、龍之介はわかっていたのかもしれない。


今日、自分の気持ちを確信することが出来ると。


優衣をデートに誘った時点で気付いていたのかもしれない。



しかし、すぐに手を出せるほど軽い男ではないのだ。
大上龍之介という男は。



だから今は




「龍、く…ぃ…すきぃ…っ」




狼はうわごとのように零れるこの言葉に満足するのだろう。


小さな小さな可愛い兎の言葉にも嘘は見つけられないのだから。







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