切羽詰まりながらもなんとか返事を返せば、ゆっくりと龍之介の綺麗な顔が近づいてきて。
だんだんとその距離が埋まるほど大好きな龍之介の香りが優衣の鼻を掠める。
いつもは安心するその香りも、今だけは促進剤のように優衣の緊張を煽るばかり。
(ち、ちちち近いよぉー!!こ、これって…もしかして…!?)
過るのは知識でしか知らない大人の階段を一歩上るかもしれないという予感。
そんな自分の姿想像できないと思いながらも、優衣の心は決して嫌だとは感じていなくて。
バクバクと五月蝿い心臓を落ち着かせるように強く胸元の服を握り締める。
静かに近づく距離に優衣の瞳がぎゅっと閉じられた。


