それでもなんとか気合いを入れて振り返れば、綺麗な龍之介の瞳とぶつかった。




「あ、う…りゅ、くん…っ」


「…悪い。我慢出来なかった」




唇が触れた頬を龍之介の長い指がゆっくりなぞる。


まっすぐと見つめ合ったまま真剣な眼差しで"怖かったか?"と尋ねる龍之介に、ぶんぶんと首を横に振る優衣。


すると伸びてきた龍之介の大きな手のひらがまるで硝子細工を扱うように丁寧に優衣の両頬を包んだ。



外すことなど出来ない熱を灯したような視線に優衣は思わずこくりと息をのむ。




「……優衣…」


「…は、い…」




紡がれた名前に高まる緊張。



呼ばれなれたと思っていた自分の名前にすらドキドキは鳴り止むことを知らない。