優衣が心の奥で欲する願いに答えるように、龍之介は他の誰かに見せることのない優しい笑みを優衣に向ける。



きゅんっ



柔らかな龍之介の表情に、優衣の心臓の奥のほうが縛り付けられるように痛い。

確かに痛いはずなのに問い掛けていた、どこか幸せな気分にさせられる不思議な感覚に戸惑う優衣。


その頬は深紅の薔薇が咲いたかのように色付いて。


赤く染まった顔を隠す余裕もない優衣は、ただただ首を縦に振った。


優衣の精一杯の返事に龍之介も満足そうに笑みを深める。

そんな龍之介の表情に漸く戻ってきた優衣の笑顔。



絡み合った指先に熱をこめ、二人は大きな観覧車に背を向けて歩きだした。