まるで子どものように大声を上げて泣き始めた優衣にさすがの龍之介も驚いて後ろを振り返る。


ぼろぼろと大粒の涙を流しぐずっている優衣とおろおろ戸惑う龍之介。

そんな二人に突き刺さるのは、周囲からの軽蔑を含んだ視線と小さく囁きあう声で。




"やだ、彼氏泣かしてる"


"可哀想〜"




デ ジ ャ ブ 。



前にも陥った覚えのあるこの状況。

いち早くそれを思い出した龍之介は慌てて優衣を抱き上げ駆け出した。


抱き締めるように抱えてもらいながらも"いやなのぉー"と繰り返し龍之介の首にしっかりとしがみつく優衣。


龍之介はそんな優衣の背中を撫でるように叩き、何とか宥めようと必死だ。