頭の奥は甘く痺れ、何かに囚われたように高鳴る胸の鼓動。


それら全てが共鳴して生まれた感情は優衣の心を占めた。



それは、もっと触れていたいと願う小さな小さな"独占欲"。




(…もっと、もっと…っ…)




そして甘い甘い"誘惑"。







「あ、あと…これ着とけ」




暫らくの間優衣の頬や髪に触れていた龍之介だが、ふと思い出したように口を開くとおもむろに羽織っていたジャージを脱ぎ始めた。


そしてそのまま優衣の肩にそれを掛ける。




「…?」




不思議そうに首を傾げた優衣に、無言で袖を通させ前のジッパーを閉めていく龍之介。

優衣は着せ替え人形の如く、目をぱちくりさせてされるがまま。