腕の怪我は大分薄れ、殆どわからない。

この程度なら転んだとでも言えば誤魔化すことが出来るだろう。




「夏希ー、うーちゃんの用意できたー?」




更衣室の入り口から夏希と優衣を呼ぶのは、先程まで優衣を囲んでいた女子生徒三人。


右から川平渚(カワヒラ ナギサ)・狭山凛子(サヤマ リンコ)・如月香代(キサラギ カヨ)。




「ま、待ってぇ…もうちょっとだからっ」




既に用意の終わっている三人と夏希を目の前に急いで着替えを済ませようとする優衣。


だが、焦れば焦るほどうまくいかなくなるもので。


ただ腕を通して着るだけの作業に、いつもの倍時間がかかってしまった。




そんな、《小動物が洋服と格闘する図》を四人が和みながら見ていたのを優衣は知らない。