「優衣…俺の親父はな、料理人なんだ。フランス人の」




ぐっと優衣の肩を掴み真剣な面持ちで語る龍之介に優衣は意味もなく何度も首を縦に振る。




(龍くん、ハーフだったんだ…)




神妙な顔つきで話す龍之介とは対照的に、"だからお料理上手なんだねぇ"などとまったく関係ないことを考えていた優衣。


しかし、そんな優衣の思考に気付いていない龍之介は、一瞬躊躇ったものの言葉を続けていく。




「俺の親父はフランス人らしく愛情表現が半端じゃない。んで……周りが思ってる以上に………………俺は、親父に似てる」




そう言い終わるや絡んだ龍之介と優衣の指。


世に言う"恋人つなぎ"というやつだ。