笑いを噛み殺しながら最後まで誘導してくれる龍之介の声に、優衣は素直に頷いて廊下の一番奥にある階段を駆け上がる。


薄暗い階段を足早に上っていけば、上から一筋に漏れている明るい光。

その光に手を伸ばすよう、優衣は一歩一歩足を進めた。



ガチャ...




「着いたぁ!!」




重い鉄の扉を開ければ、広がるのは昨日見たばかりの青い空。


そして




(…あ…)




まるで絵に描いたような背中でフェンスにもたれかかっている長身の男。




「おー。一人で来れたな」




太陽の光を眩しそうに避けながら笑った顔は、映画のワンシーンかと思うほどに綺麗で。


ドキッと普段とは違う音をたてた心臓に恥ずかしさが込み上げながらも、優衣は吸い寄せられるように龍之介のもとへと近づいていった。