一方その頃。
『次の突き当たり、右な』
優衣は龍之介に電話で指示をもらいながら、とある場所を目指していた。
携帯を耳にあてパタパタと廊下を小走りしている優衣。
「右〜…右…?」
『……窓があるほうに向かって曲がるんだぞ』
突き当たりに差し掛かり電話口で右と言われながら、優衣はキョロキョロと左右を見渡す。
それを感じ取った龍之介は少し間を開けた後、目印を教えながら優衣の誘導を再開した。
「窓ー…あ!うん、曲がれた〜」
ぱっと表情を明るくした優衣は嬉しそうにその場で飛び跳ねる。
そんな優衣の反応に電話越しに笑いを耐えている龍之介。
『そしたら一番奥の階段、一番上まで上ってきて』
「はーいっ」


