罰が悪そうに顔を顰め頭を下げる龍之介に、優衣は慌てて龍之介の服を掴んだ。




「おっ大上くんのせいじゃないよ!?私が、泣いたりしたから…」




だから、ごめんなさい…と龍之介の制服を握りながら優衣は小さな体を更に小さく縮こまらせる。


弱々しく握られた手はカタカタと震えていて。

大きな瞳からは今にも零れ落ちそうな涙。




(…ふぅ…また、泣きそうだよ…ぅ…)




そんな優衣の手に重なった大きな手の暖かさ。


驚いて手を凝視すれば、ギュッと手を握る力が強まった。




「大上、く…」


「あのさ」




優衣が戸惑いがちに名前を呼ぼうとすれば、それを遮るように重ねられた龍之介の言葉。


龍之介の視線はまっすぐに優衣の瞳を見つめている。