たべちゃいたいほど、恋してる。





「32秒ってとこ」




淡々と告げられたそれが予定時間からの遅刻秒数だとわかっている優衣は"なっちゃんの鬼!"と恨めしそうに夏希を睨んだ。




「うぅ〜…30秒くらいいいじゃんかぁ」


「このために1時間も早く人を起こしたのは誰でしたっけ?」




これくらい当然だといわんばかりの夏希に反論出来ず、口をへの字に結ぶ優衣。


間違いなく自分の都合で夏希を起こしたのは優衣で。

その上いつものこととはいえ、家まで迎えに来てもらっているのだから文句など言えるはずがない。




「……ごめんなさぁい…」




しょぼん…という効果音がつきそうなほどしおらしく謝る優衣が本物の兎に見えてきた夏希。



何だか弱いもの虐めをしている気分になった夏希は居心地悪そうに頬を掻き




「……気にしてないから、後ろ乗って」




と自分の自転車の荷台を叩いた。