(うわぁぁぁ…なっちゃん時間にきっちりしすぎだよぉ…)
予告時間を一秒も違えず迎えに来そうな夏希に優衣は、後でね!と電話を切ると大急ぎで髪を二つに結び化粧を始める。
といっても、流行に疎い優衣は薄く目元をいじる程度でさほどすっぴんと変わらない。
しかし、要領の悪い優衣はそれだけの事にすら時間がかかってしまうのだ。
夏希を待たせてしまうと焦っている今は殊更上手くいかないわけで。
「ふぇぇ…なっちゃんに怒られる…!」
半べそかきながらもなんとか化粧を終わらせた優衣はバタバタと階段を駆け降り、朝ご飯も食べず玄関を飛び出した。
「……っセーフ?」
「ギリギリアウト」
既に家の前で愛用の自転車に跨り待っていた夏希は、こちらもまた愛用の秒刻みで表示されるデジタル時計ををちらりと見てから肩で息をしている優衣に目をやる。


