龍之介は罰が悪そうに視線を逸らせた。

その言葉に優衣は首を捻る。




(…って…え?笑われるって…俺が作った?このお弁当もしかして…)




「…これ、大上くんが作ったの?」




三段重を指差しながら問い掛ける優衣。


その言葉にピシリと空気が固まった。



両者が動かぬまま数十秒。




「……あぁ」




短く言葉を発したのは龍之介で。

僅かに頬を染めて返ってきた返事は是。




「嘘ぉぉお!?」




信じられない!と優衣は目をむき出しにして驚いた。


優衣が信じられないのも無理はないだろう。


広げてあった三段重の中身は色とりどりのプロが作ったような料理ばかり。




「嘘じゃなくて悪かったな!だから忘れろって言ってんだろ!?」




チッと舌打ちして頭を掻く龍之介に優衣はキラキラした視線を向けた。

その視線に嫌な予感がした龍之介はふいっと優衣から視線を逸らす。