聞こえたのは柔らかく優衣の名を呼ぶ龍之介の声だった。


それからどうやって電話を終えたのか覚えていない。


気付けば、ぼーっとベッドの上に正座していた優衣はそのままコテンと横になる。



"おやすみ、優衣"



間違いなく優衣の名を呼んだ龍之介の声。

思い出すたびに優衣の頬は熱くなり、キュンと高鳴る心臓。




「よ、呼んでくれた…!」




(あれは…さっきみたいな妄想なんかじゃなかったよね!?ちゃんと本物の大上くんだったよね!?)




夢でないことを確かめるように優衣は龍之介との通話記録を眺める。