いや
知ってようが
知らなかったとしても
やがて
おとずれる恐怖は
結果的には変わらない。だとするなら
知っていた方が
不幸中の幸いと
思った方が
精神的な安らぎを
覚える。

自分に言い聞かせながら自宅へと戻る。

家の様子は
特に変わりは無かった。
いつもの様に
風呂に入り
夕食を済ませるといったいつもと変わらない
生活を送っていた。

念の為
住職から言われた様に
恵から目を離さない様に恵が眠る横に
夫も早紀も
見守っていた。

早紀は
時計を見ると
時計の針は
23時43分を
指していた。

早紀も夫も
異様な眠気を
覚えていた。

眠い目を
擦りながら
早紀は恵が眠る真横で
横になる。

夫も早紀の後を
追うように
恵の真横で横になる。

横になると
眠気は増し
遂には恵みを挟む様に
眠ってしまう。

それから
どれだけ
眠ってしまったの
だろうか・・・・。

異様な寒さで
夫が目を覚ます。

覚ました瞬間
青白い
おぞましい表情をした
女性が恵の手を
しっかりと握り締め
宙を浮いている。

そして
恵の
もう片方の腕を
早紀が
食い止めようと
引っ張っている。