気が付くと
昨日
越してきたばかりの
家の天井が
目に映った
私の手に小さな
娘の手が
握られていた

※早紀
「恵、何してるの?今日は幼稚園で新しい友達に会う日でしょ」
早紀は
しゃがみながら
庭の土に円を
描いている恵に
話しかける。
恵は
こちらに振り向き
早紀の方へ
走りながら来る。
「おともだちぃ?」
可愛らしい声で
聞いてくる。
恵の声に答える。
「そうよ。新しい幼稚園で、いっぱい、お友達を作ろうね」
早紀が答えると
恵は誰もいない
方向へ指を指す。
「おともだちなら、もう出来たよ。美紀ちゃんって言うの。いまね、ケンケンパを教えてもらってたんだよ。こうやってやるのぉ。見てて」
恵は先ほど
描いてた
円の所まで行き
楽しそうに笑いながら
円の中心を無邪気に
飛んでいる。
時折
誰も居ないと言うのに
楽しそうに
まるで
もう1人いるかの様に
話かけている。
「次は美紀ちゃんの番だよ」
早紀は恵の姿を見て
不思議に思い
恵の所まで行き訪ねる。「恵、サヨちゃんって誰?誰もいないよ」
恵はニコニコと
笑顔になり早紀に
伝える。
「いるよぉ~お父さんとお母さんを探しているんだって」