「おはよう。香織。気分はどう?」


「……だ、れ?」


「僕等はね、リーノイ、香織の彼氏だよ。憶えていないの?」


彼氏?

私の彼氏。

「私は、何?」

私は、記憶が曖昧だった。
理由は分からない。
記憶が抜け落ちている事しか分からなかったから……。
「君はね、ヴァンパイアなんだよ。それでね、君はヴァンパイアを狩るヴァンパイア鬼から逃げている時に少し、記憶をいじられてしまったんだよ」
リーノイがスラスラ語る。
「ヴァンパイア鬼?」
私がそう聞き返すと、優しく答えてくれた。
「ヴァンパイア鬼は僕等の敵なんだ。特に、大輝ってヤツには要注意だ。気おつけるんだよ」
「うん! わかった!」
私はそうこたえた。
すると、リーノイは笑ってくれた。
私はそれが嬉しくてたまらなかった。
だから、私はリーノの顔を自分の顔に引き寄せて、唇を重ねた。
長い間ずっと……。
そして、話すとリーノイはとても嬉しそうに、
「ありがとう」
と言い、部屋を出て行った。
きっと、もっと休んでってことだよね!
なら、寝なくちゃ!
私はそう思い、しっかり眠った。


この晩は悪夢を見なかった。