ずいぶん歩いた気がする。
「着いたよ」
笑顔でそう言って前を指差す。
私は煉の指に、つられるようにして前をみた。

「わぁー!! すごい! すごいわ!!」

私は興奮しながら言うと、
「気にいってくれたかな?」
と、煉が聞いてきた。
「うん。すごく気に入ったわ! とても、素敵な大きな木ね。
でも、何で私が、植物が好きって知ってるの? 大輝にしか言ったことないのに」
私はそう聞きながら、辺り一面に広がる、木の色と花の色を見渡していた。
すると、少し間をおいて、煉が話し出した。
「大輝に聞いたんだよ、昨日。『香織が元気ないみたいだから、いいところがあったら連れて行ってくれないか?』って、言われたんだよ。だから、今日ここへ、来たんだよ。僕も、香織に会いたかったからさ」
大輝は私のことを、すごく心配してるのね……。
心配なんて、いらないのに……。
「そうなんだ。私って、そんなに不安そうな顔してるかな?」
「してるよ、とてもね。不安そうっていうよりも、元気がないって感じかな」
空をみながら、私の質問に答えた。
今は、私の顔を見つめている。
また、探るような目で……。
だから、私はまた、ばれないように笑顔をつくった。
「そっか。じゃあ、もっと元気にならなきゃね!」
私は元気よく、煉に向かって言った。
すると、
「がんばってね。さぁ、ご飯を食べにいこう」
と、煉が言ったので私は、
「うん! 私、ハンバーガーが食べたいわ!」
と、答えた。
そして、公園を後にした。