今は9時5分前!
いつもの、音楽の広場に着いていた。
もちろん、煉はもう待っていた。
いつものことだ。
いつも、煉は私より先に来ている。
私がどんだけ早く待ち合わせ場所に着いたとしても……。
煉は瞬間移動が得意で、何故か私の居場所を感じることができるみたい……。
まぁ、ヴァンパイアには色々能力があるからね。
私はたくさんの能力を持っていて、大輝は暗示をかけるのが得意なんだ。
「やぁ! 久しぶりだね。香織。どうかしたの?」
私がしゃべらなかったせいで、心配してるみたいね。
飢えてるのだけは、悟られないようにしないと。
「ううん! 何でもないよ。会えて嬉しい!」
「そうか! 僕も嬉しいよ!」
そう言って、煉は嬉しそうに微笑んだ。
「さぁ、おいで! 僕が楽しいところへ、連れていってあげるよ!」
「ありがとう! ちなみに、どこへ行くの?」
私は煉の顔をのぞきこみながら聞いてみた。
「秘密だよ。そういえば、大輝には、ちゃんと遊びに行くことは伝えてあるのかい?」
私に目線をあわせて、探るように聞いてきた。
煉は180身長がある。
それに比べて、私は160しかない。
でも、そんなのは気にしていなかった。
「言ってない!」
私がそう答えると煉は、満足したのか歩き出した。