カラオケの電子音の奏でる曲が流れる。
リンがあたりをきょろきょろ見渡す。
かなり緊張しているようだ。
やがて、視点はモニターに定まる。
オレもつられてモニターを見た。
曲名は『Regret』。
すぐに、歌詞に切り替わる。
聞いたことのない曲だ。
リンの怖々とした顔が、ゆるくなる。
息を吸う。
歌声が、響いた。
視線が、リンに集まる。
リンはモニターだけを見て……いや、本当はどこも見ていないかのように気にしなかった。
もう歌しか聞こえない。
サビに入る。
『
――
あなたにも聴いて欲しい歌がある
どんなときでも 私がいなくても
あなたにも聴いて欲しい歌だから
あなたにもこのCD あげるから
――
』
それが、やたらと耳に残った。



