「諸君!そろっているかね!!」

「見たらわかるだろ――顧問がいない」

「ははは、くるりんがいないのは昼食のときもスルーしているが?」

扱いがひどいなくるりん。



「では、これより!文芸部新入部員歓迎会を始める!」

「すでに始まってんだよ!」

「……ナオキくん。本番はこれからって意味なんじゃないかな……」

不安的中。



「歌う順番はワタシから時計回りだ。異論は認めない強制する」

ということは、席順の通りになるな。

しかし……どうやって曲を入れるんだ?

「ちょっと待て!オレ、カラオケ初めてなんだが」

「だからどうした!」

キョウスケがマイクを取る。

『――熱くなれ!夢見たあしーたーをー!!』

「いきなり熱いアニソンだ!」

『誰のーたーめにー僕らはーいくー』

「カナコ、マイナーな上に暗い!」

『グリーングリーン!青空にーはー』

「サヤ、なぜその選曲!?」

『さあ、始めよう!もう止まらない』

「エイヤ、福山雅治か!」

『誰にもー、見せないー』

「リン、意図してオレを飛ばしやがった!」

『今こそたーちーあーがーれー!!』

「キョウスケ、また選曲が熱い!!」

『ある日ー君はー僕のー』

「カナコ、またマイナーな上に暗い!!」

『てんだああああああああああああああああ!!』

「サヤは絶対ネタで選曲してるだろ!!」

『ただ地図を広げてーただ風を待ってたんだー!』

「エイヤはイメージの向こう側にでも行ってろ!!」

『すいーすいーすーだらだっだー』

「リン……無理してネタに走らなくていいから……」