「で、本名はなんて言うんだよ」
「ワタシに聞くとは無粋だね。――本人に聞きたまえ」
「聞きづらいだろ。本人に直接聞けないだろ」
まさか本当に知らないのか。
どうなっているんだ、この部活は。
いや、すでにわかっていたことか。
「いいか?よく聞きたまえ」
急に真面目になって、オレとリンを見つめるキョウスケ。
「くるりんと呼んでおけば間違いなどない……!」
「間違いだらけだ!そもそも教師をなめている」
「我々は本名を知った上で愛称で呼んでいる。……そうしておけば問題はない」
「そうですね」
「リン、納得するな」
入部初日。
職員室で見た、メガネをかけたよくいるおっさん。
どうやらオレもくるりんと呼ぶしかないようだ。
いや。
「授業は?授業は何か持っていないのか?」
「知らないね」
「それじゃあくるりんはくるりんでしかねーだろ!!」
「その通りだよ!!」
くるりんは本当に教員なのか。
生徒に慕われてなさ過ぎる。
「まあ、そのうち授業があるかもしれませんよ」
リン……今のところないが、それは来年の話か?



