歩道を歩くキョウスケとリン、そしてオレ。
キョウスケは自転車を押しながら先導、リンとオレは並んで歩いていた。
「……さて、二人から突っ込みがないのでずっと黙っていたのだが」
キョウスケが口を切る。
「なんだよ。改まって」
隣のリンの顔にもはてなマークがうかがえる。
「……くるりんが事故ってね。カラオケは途中参加らしい」
……くるりん?
ああ確か。
「文芸部顧問!?一体何したんだよ!?」
「電話があって、詳しくは知らないがそれほど大事でもないらしい。……というか忘れていただろう?二人とも」
すっかり忘れていた。
「それはもっと早く言うべきだろ」
昼食の間普段どおりだったのでまったく気がつかなかった。
「くるりんはそんな理不尽な役回りがくるりんだよ。……じきに慣れる」
慣れとかそういうものなのか?
――くるりんも文芸部としての扱いなんだろう。
たとえばオレがたまにスルーされる、そんなこと。
ほとんど顔を合わせていないから、くるりんのことはほとんど知らないが。
「ご愁傷様と言わざるを得ませんね」
リンが言った。
まったくだ。



