不思議病-フシギビョウ-は死に至る



「まあ落ち着いて、がっつりいこうじゃないか」

がっつりいくのはアンタだけだ。

「あとはマルゲリータピザを一つ。これでいいかね」

「じゃあ注文するよ」

カナコが机に備えられた呼び出しボタンを一回押す。

程なくして店員がやってきて、カナコがみんなのメニューを言う。

かなり手馴れているようだった。

オレの場合、たどたどしいに違いない。



「さて、新入部員歓迎会と銘打ったが実際のところ店に迷惑がかかるので騒ぐことはしない」

「堅実だな」

「とりあえず、今年一年頑張ってくれたまえ一年諸君」

まあ、ほどほどに頑張るさ。



……何を?

文芸活動が一番正しい。

多分そうであってほしい。



ドリンクバーに行っているうちに料理が運ばれてきた。

「安いし早いのがこういう店の利点だな。しかもイタリア料理だからはずれがない」

「いや、イタリア料理でもはずれがあるよ。向こうの店とか」

サヤがどこかを指差して言った。

あまり出かけないオレに心当たりはなかったが、そんな場所もあるのだろう。

「どういう風にはずれなんだ。そう不味くはならないだろ」

オレには想像できないのだが。

「量が少ない。雑。メニューの写真とは大違い」

……それはひどい。