「ところで、みんなはどうして文芸部に入ったの?」

カナコ、先送りしたな。



「私は――本が好きだからです」

リンは見た目からして文学少女っぽい。

バスの行き帰りも本を読んでいるから、やはりそのイメージが強い。



「あたしは……本が好きだからかな」

サヤはリンと同じ理由か。

こちらは活発そうなのに、人間とは見た目に寄らないということか。



「俺は……本が好きだから」

そうか、エイヤも同じ理由なのか。



「待て。偶然もそこまで続くと必然になる」

「便宜上だ」

「本音を言えば?」

「サヤに強制された」

……いや、想像できたことかもしれん。

「だって、エイヤ帰宅部になるって言うんだもん」

それ、なんてオレだ。



「さて」

オレは今までの流れどおり、無視される。

よかった。
まさか幽霊部員になるつもりで入ったなんて言えない。



「ナオキ……答えたまえ」

「何で無視しないんだよ!?」

「無視して欲しかったのかね」

「ほしか……あ、いや」

さすがに、これを言ってしまっては今後が気まずくなる。

何か、うまい言い訳を。



「……本が好きだから」

「今更面白くないぞ。別の理由を述べたまえ」

四度目はダメなのかよ。

ちくしょう。

誰か打開策を。



そう願ったら、リンが口を開いた。

「ナオキさんは……」