「――世の中にはたくさんの人間がいて、人間の数だけ様々な生き方がある。――我々もその一例だよ」
「勉強しろ勉強を」
「わたしたち、夏休みまで自粛してるんだよ」
「部活のほうを自粛しろよ……」
何か間違っているぞ、この二人は。
二人がうなだれているのを見て、サヤが明るく、
「別にいいじゃんかー!勉強なんかしても社会に出て役に立たないー!」
と言ったが……。
「大概の勉強できない人間は思考力が弱い。――ものを考えられないとは悲しいこととは思わんかね?」
「サヤさん。――それはまるきゅーな人が言うセリフだよ」
重い雰囲気で二人が反論する。
というか、そこまでわかっていてなぜ勉強しない。
「あるぇー?あたし、励まそうとしただけなのに」
「サヤ。――お前の常識と世論は常に一緒とは限らない」
「うわ。エイヤきつっ!……リンちゃんは?」
「私も、まあ」
言葉を濁すが、言わんとすることはわかる。
「うう……。ナオキ!あんたはあたしと同類だあ!!」
「何でだよ!?」
「なんか、ほら!バカっぽい!!」
「バカって言うなー!!」
オレはバカ認定されているのか?



