藤沢と別れ、リンと部活へ向かう途中。
「律儀ですね」
いきなり、リンが言った。
オレが土日両方の用事を潰さなかったからだろう。
「……オレはいつでも律儀な人間だ」
と返す。
「そうですか?サボり癖があるものだと思っていましたが」
何で知っているんだ。
「失礼な」
「ところで、予定は忘れないようにどこかにメモっておいてください」
リンに注意される。
メモって言ったって……。
ああ、そうだ。
「ケータイにメモメモ」
「ケータイ?そんなことできるんですか?」
リン、冗談で言っているにしては顔がマジだぞ。
「その冗談、面白くない」
「冗談じゃないですよ」
ん?最近のケータイはどれもできるだろう?
もしかして……。
「ケータイ持ってないのか?」
「……持ってませんよ。……世の中便利になりましたね」
本が好きって言うのは、そんな害を生むのだろうか。
「オレは少し不安になった」
「……」
「すまん。冗談だ」
しかし、いざというときに連絡がつかないのは不便かもしれない。



