五日目の朝。
『ちゃんと、部活行こうかなって、思ってさ』
言っちまったな。
宣言してしまったものは仕方がない。
あきらめてこれからも部活に行こう。
――そんなことじゃない。
『やっとその気になってくれましたか』
オレは部活をサボるなんて藤沢にしか言ってない。
藤沢はオレとずっと話しているから、リンに言う暇なんてない。
どうしてリンがそのことを知っているのか。
自分のことが見透かされている?
二日目もそうだった。
考えたくはないが、嫌な想像しかできない。
居心地が悪かった。
「ナオキさーん」
気分が悪かった。
「ナオキさーん」
まるで、自分がそこにいてそこにいないかのような。
「ナオキさーん」
じゃあオレは隠し事があるから、影があるからオレであるのかという話になって。
「あ、もういいです。運転手さん、置いていってください」
「待って!乗せてくれ!!」
ちくそう。
「リンのせいで遅刻するかと思った」
「ぼやっとしてるからですよ」
だから、リンのせいだよ。
リンが。
『やっとその気になってくれましたか』
その言葉が頭の中で反響する。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
そう言って、いつもの席に座る。