「短冊……ねえ?」
部長が用意してきた、文庫サイズの短い辺を半分にしたくらいの大きさの厚紙。
パンチで穴が空けられていた。
七夕の由来とかは放って置いて……短冊には自分の願いを書くものだ。
――なにを書くんだ?
毎日ぐうたら過ごしているオレにはこれといった願いなんてない。
それでも、ないものを無理矢理ひねり出す。
……。
「明日天気になあれ、とか?」
「それ短冊じゃなくて靴に願掛けするものですよ」
ピンポイント過ぎてどうしようもないな。
他はなんて書いているんだろう。
そう思って、ひょいとリンの短冊をのぞきこむ。
そこには。
「何も書いてないじゃないか」
「ナオキさんが絶対見ると思ったので」
オレ信用ないな……って、確かにのぞいたな。
とりあえず他の奴は、と思って見回す。
そうしたら、全員に隠された。
「……って、なんでだよ」
「見られてあまり気分のいいものではないからだよ」
「でも飾って、そのあと見るじゃないか」
「なにを言っているのかね?見られる前に供養するに決まっているじゃないか」
供養って何だ。燃やすのか。
「……まあ、出来上がったら各自公開するように」
やっぱりか。



