二学期が始まったことで取り戻されてしまった平日。
平穏とは、平たく穏やかと書く。
毎日何事もなく、ゆるやかに日々が流れていくのだ。
授業は相変わらずメンドクサイ。
もう慣れてしまった高校生活。
変化はない。
平和な日々がそこにある。
……暑い。
この学校は各教室に冷暖房が完備されている。
だが狭い教室に四十人前後がすし詰め状態になっているのだ。
効果を肌で感じることができない。
しかし部活はどうだ。
たったの六人で冷房を占拠できる。
なんとすばらしいことか。
……ということでオレとリンは普段どおり文芸部に向かった。
「……クーラーは?」
オレが部室に入って感じたことがある。
それは、部室の気温が外とまったく変わらないことだ。
要するに、冷房が動いていない。
その理由は、
「上が、ちょっとクーラー使いすぎじゃね、としてここのところ使用が禁止されているのだよ。ちなみに、集中管理でスイッチすら入らない」
「帰る」
涼しくない部活に出ても仕方がない。
「ダメですよ。ちゃんと活動しましょう」
リンが言う。
「リン……何で夏休みってものがあるか知っているか?」
「でもダメです」
「まあ最後まで聞けって……」
部活メンバーは六人そろっていたが、死屍累々、全員が干物になっていた。



