一人で立ち向かうことはない。
誰かのために、みんなで向かえばいい。
「エイヤ、キミがひとりよがりにならず、この方法を考えたことに敬意を表する!」
テンションがたけえ。
しかし、エイヤは首を振った。
「……これを考えて、俺に教えてくれたのはナオキだ」
「そうなのかね?」
キョウスケが振り向く。
砂浜に仰向けのままのオレを見る。
「何をしているのかね」
キョウスケのせい……ってわけでもない。
「別に」
そう言ってオレはすぐに立ち上がる。
「ふむ……ケンカの経験もなさそうな君が」
「なんだよ、その言い方。そのとおりだけど」
キョウスケは、ふむ、と言ってエイヤに向き直った。
「……そんな案をよく聞き入れることができたね。ずっとケンカをやってきた君なら反対するだろうに」
最初はそう思ったが、とエイヤは言う。
「俺は……いや、俺もケンカがしたいわけじゃなかったから」
殴るためじゃなく、暴力を振るうためじゃなく、わかりあうためにケンカした。
そして、
「俺はサヤを守る。――それで、頼っていいんだろ」
「ふむ、当たり前じゃないかね」
わかりあえたのだ。



