「……おうっ!」

エイヤが走りこんで、キョウスケの体にぶつかる。

それは、体の全体重を乗せた攻撃。

体当たりだ。

それは屈強なキョウスケを倒す……って、オレが後ろに。



キョウスケはオレを下敷きにして、倒れた。





エイヤはそのまま、キョウスケを見下ろしていた。

決着なんて、オレにはわからなかった。



すぐに、キョウスケが立ち上がった。

そして、オレのジャケットを取り払った。

オレは倒れたままで、キョウスケの表情なんて見えなかった。

黙ったまま、数秒の時間が流れる。

だが、

「――ははは!」

キョウスケは、声を上げて笑った。

「面白いよ!面白い発想だ!」

それは部室で見るいつものキョウスケだった。

「なるほど!一人では立ち向かえないから五人で戦うか。ふむ、正しい!」

「……怒らないのか」

エイヤが不安そうに尋ねる。

「何をかね?」

「……一応あんたとの真剣勝負に、一対多で向かったことを」

ふむ、とキョウスケはうなずく。

「別に、ワタシはキミと格闘技勝負したかったわけではないよ。そう、サヤを守るためになら一致団結してみせるべきだ」